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北鹿新聞に掲載されました。~雄鶏使いスープ開発・本家あべや~
2026年8月22日
豊富な栄養素、価値見いだす
県内外で比内地鶏料理店などを展開し、大館市比内町の旧大葛小学校を加工製造場として活用する本家あべや(本社・東京都、小笠原伸也社長)は、比内地鶏の生産過程で生まれる生後75~80日の雄鶏(おんどり)で煮出し汁(スープ)を商品化した。
これまで活用されることの少なかった雄鶏から抽出される栄養素に着目し、2年がかりで研究・開発。大葛の天然水を使用することで実現に至った。認証外のため比内地鶏の名称は使用せず、「HINAI 75」のブランド名で売り出していく。

比内地鶏認証外の素材で

比内地鶏は、秋田比内地鶏の雄とロード種の雌の交配で作出された一代交雑種。県のブランド認証制度では雌で生後150日以上、雌で生後100日以上と規定され、名称使用や管理に厳しい基準が定められている。主に味の良い雌が流通し、肉質が硬く、特有の香りのある雄は十分に活用されずにきた。
同社は大館市から比内地鶏を仕入れて自社飲食店でメニューとして提供するほか、インターネット通販も手掛ける。旧大葛小の空き校舎と土地を市から借用し、昨年11月末に食品製造工場を整備。「ひないフードファクトリー」の名称で食の研究開発や、各店舗に食材を供給するための加工・調理を行っている。
比内地鶏の価値を最大化するため、国内外の料理を参考に雄鶏の可能性を探索。スープの成分を分析したところ、低カロリー、高たんぱくで、コラーゲンやアミノ酸などの含有量が多いと分かった。生後75~80日で最も高い数値を示し、さらに大葛の天然水で抽出すると、うま味成分も豊富だと判明した。
75~80日齢は比内地鶏のブランド認証基準を満たさないため、新ブランド「HINAI 75」を立ち上げて商品化。天然水で低温や強火で煮出した2種類のスープと、2種類を混ぜたダブルスープを開発した。スープを使ったきりたんぽ鍋、親子丼、稲庭うどん、水炊きなどの商品も用意。栄養素や素材の持つ価値をアピールして売り出している。

大葛の天然水でスープを取ると、東京で調査した時に比べて各成分の数値が約3倍になったという。小笠原社長は「大葛に来てからは命の循環を肌で感じる。きれいな水、大地で育まれた天然の食材をいただくことが、人間にとっては大切だと気付いた。比内の風土にはものすごいポテンシャルがある」と語る。
廃棄ゼロ、循環型産業の構築に向け、スープ抽出後の雄鶏の内臓を使った発酵調味料、骨や肉を使用した堆肥作りを進め、農業にも取り組む。一連の事業が評価され、第2回発酵アワードグランプリ(食薬学研究会主催)の「発酵テロワール(土地)部門」でグランプリを受賞した。
最終的には生産者に還元される仕組み作りを目指す。「地域資源の持つ価値、この土地でないとできないことをさらに研究していく。商品や体験プログラムを高付加価値・高単価で提供することで、産地の持続可能なモデルを作りたい」と考えている。

「HINAI 75」のブランドで売り出す比内地鶏の雄鶏のスープ